NBA選手の権利?トレード要求

スター選手のトレード要求についての賛否両論

NBAでは、近年になってスター選手のトレード要求が話題になる機会が増えています。
2022年にはジェームズ・ハーデンとベン・シモンズのトレードがトレード期限(トレードデッドライン)ギリギリに成立して話題になりましたし、2023年にはデイミアン・リラードが所属しているブレイザーズにトレード要求をしたとの報道が流れました。

どうしてスター選手がチームに対してトレード要求をするのでしょうか?
バスケットポールはチームスポーツですから、優れた能力を持つスター選手と言えども必ず活躍できるとは限りません。
チームメイトとうまくコミュケーションが取れない、チームの戦術になじめない、さらにはチームが弱くて自分の能力を十分に発揮できない、といった問題を抱えることも多いのです。

例えば先述したベン・シモンズは、チームの成績が振るわなかった戦犯扱いをされたことでチームとの信頼関係が崩壊してしまったのが原因と言われています。
ジェームズ・ハーデンは、チームの成績が振るわないことから優勝争いできるチームに移籍したいとの理由でトレード要求をしたとも言われています。
選手の側からすれば、自分の能力が存分に発揮できるチーム、または優勝争いができる強いチームで活躍したいと思うのは当然ですし、合わないチームで「飼い殺し」されるような状況だとキャリアを台無しにしてしまう恐れもあります。
ですから、トレード要求は選手の権利としての面も持ち合わせているわけです。

チームやNBA、さらにファンの間からは選手のトレード要求に対して賛否両論の声が上がっています。
チームとしてもファンとしても、有力選手はずっと在籍して活躍してほしいと思うものです。
ですから、そんなスター選手がトレード要求すればガッカリしてしまうのも無理はありません。

しかし一方で、チームの成績が振るわない場合、思い切ってスター選手を放出して別の選手を補充することでテコ入れを図れるというメリットもあります。
さらにこうしたトレードやトレード要求がもたらす話題性が社会のNBAへの関心を集めるメリットをもたらしている、との声も見られます。

NBAのコミッショナーの見解は?

このように賛否両論があるスター選手のトレード要求ですが、2023年2月にNBAコミッショナーのアダム・シルバー氏が自らの見解を発表しました。
それによると、チームとの契約下にある選手が公の場でトレード要求をすることは「システムを腐敗する」と批判的な見解を明らかにしています。

一方で選手の移籍そのものについては「基本的にポジティブだ」と言っており、トレードそのものよりもトレード要求に問題があると考えているようです。
トレード要求には、チームと選手との間で結ばれた契約をないがしろにする面もあるため、コミッショナーの立場としてはあまり賛成できないということなのでしょう。